10歳の自分から与えられた写真のテーマ~「写真の善し悪しについて語ろう」ワークショップに参加して気付いたこと~
自分が撮りたい写真のルーツは、小学校4年生の時に受けた国語の授業にありました。
それは「身近なものを擬人化して詩とミニ小説を書いてみよう」という授業で、ものの気持ちを想像して文章を書くという内容でした。10歳の体験が、ずーっと残っているようです。
どういうこっちゃ?とお思いの方が多いでしょう。まずはこちらをご覧ください。
というように、私はカレンダーの気持ちを想像しました(あとはドッジボールの気持ちになってミニ小説を書いた)。すんげー恥ずかしいけど、まぁ10歳が書いた文章だからな。許してください。
この授業がきっかけで、日ごろから「火って自分は熱いのかな・・」とか「水に濡れたせいでデコボコしちゃった木製のお盆さん・・じんましんみたいで辛いね」とかそんなことを考えてしまうようになりました。
ちなみに同じクラスだった夫(幼馴染)は、ブーメランについて書いていました。
詩の中で、「そんなに僕が好きかい?」というフレーズを連呼。ほら、ブーメランって投げても投げても戻ってくるじゃないですか。
小学校時代に人生最大のモテ期を迎えた夫の自信の強さがうかがえました。調子乗ってんじゃねぇぞ!!
はぁ、前置き長い病をどうにかしたいですが、本題に入ります。
6月9日(土)に、塙真一さん主催の「写真の善し悪しについて語ろう」ワークショップに参加してきました。
参加者で写真を持ち寄って、良い写真とそうでない写真について講評していただくワークショップ。ただ褒め合うだけの会でなく、伝わるかどうかを主眼に写真を観る会、でした。
参加者は男性10名、女性(私)1名の計11名。ポートレートがメインの方が7名、スナップ・風景を撮る方が4名でした。
写真を30枚持ち寄って、一枚ずつプレゼンしていきます。
(写真30枚の提出が条件だったのは、大体30枚あるとその人の傾向が見えてくるから、とのことでした)
そしてプレゼンター以外の参加者は「いいね」と思ったら片手を、「超いいね!」と思ったら両手をあげていきます。
冒頭に書いたように、私が撮影するときのテーマは「擬人化」と、あとは「偶然の切り取り」を意識している気がします。
「擬人化」は、ものの声を想像して撮ること。
声を発さないものたちが、「もしかしたらこんなこと思っているんじゃないかな?」と想像しながら撮るのが楽しいです。
「偶然の切り取り」は、スナップして、その日出会った(すれ違った)方の動作や様子を狙い撃ちします。
それでは当日私が話した内容と、それに対する先生や他の参加者さんからのご意見を載せていきますね。30枚あるので気になる所だけサッサーとご覧いただければ嬉しいです。
私「川越で撮影しました。着物を着た女性が、「あー時の鐘だー!」と見上げている様子を撮りました」
塙氏「これはセピアにしちゃったことと、時の鐘を見上げていると言いつつも、空と信号の空間が多い。下に力がなくなっちゃってる」
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私「水戸市の繁華街を歩いたときに見つけたおしぼりです。おしぼりの数から、大勢の方がにぎわっていた様子が浮かんできました」
塙氏「これいいよねぇ。ダイレクトにおしぼりさん達。このシリーズで組むといいと思う」
いいねの数:1
私「つくば駅で撮って、男性が足早に帰って、「早く帰らないといけないのかな?」と気になって撮りました」
塙氏「夜でキレイなんだけど、まとまり過ぎててあまり面白くないかな」
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私「これは柏の葉キャンパス駅で、これも男性が帰っていく所を撮りました」
塙氏「これは明るすぎるし、この人の背中が物語っていない」
いいねの数:1
私「雪の日に近くの駅で撮りました。電車両脇にある足跡。雪で電車が止まったので、みんな帰路につけてよかったなーと思って」
塙氏「面白いんだけど真ん中の電車が強い。足跡に目がいかない。足跡をうまく撮ってあげるとよい」
参加者「電車が無い方が、足跡に目が行くと思う」
いいねの数:7
私「これも雪の日です。吹き溜まりがなんかメレンゲみたいでおいしそうで・・」
塙氏「明かりの感じはいいかな」
いいねの数:0
私「これは女性が自転車で坂をガーーーっと上がっている所を撮りました」
塙氏「女性が坂をのぼっているにしては弱い。むしろ無い方が都会感が出てよい気がする。人が活きてこない」
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私「俺、普段水ばっか出してるんだ。ここにいるんだよ気付いてよ!みたいな気持ちかな・・って」
塙氏「色味を落とすといいかも」
いいねの数:0
私「神保町で。古本を真剣に選ばれていた姿を撮りました」
塙氏「正直、普通のスナップだね」
いいねの数:1
私「新しい命が出てきたーと思って撮りました」
塙氏「これまた毛色が違う写真になるんだよね」
いいねの数:2
私「手の感じが柔らかくて好きで」
塙氏「明るさかなぁ」
いいねの数:0
私「奥が美容室で、おばあさんがこれから髪を整えてもらう所。中は静かだけど、外は人通りも多い。その差を映したかった」
塙氏「人が入り込むシリーズなら、これがいいかな」
いいねの数:0
私「女性が何かある~って覗いてたら、おばあちゃんも振り向いた所を撮りました」
塙氏「3人が覗いている様子なんだけど、ちょっと弱い。コントラストが無いからかな」
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私「これから夕食の準備をする女性とお店の人を撮りました」
塙氏「手前が明るすぎて、でも奥の人は暗くて。効果的ではないかなぁ」
いいねの数:0
私「女の子が何となくさびしそうに立っていたので、何考えてるのかなーと思って」
塙氏「昭和っぽい感じで面白い」
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私「つぶれたお店の中で、置き去りにされたものたちが悲しそうな感じがした」
塙氏「これも面白い」
いいねの数:0
私「ガラの悪そうなおじいさんが歩いてた所を撮りました」
塙氏「何となくおじいさんを撮影した、という感じ」
いいねの数:0
私「猫をなでている女の子を撮りました。千葉の手賀沼です」
塙氏「これも昭和っぽくていいね」
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私「みんなどういうこと考えながら一服したのかなーって」
塙氏「難しい」
いいねの数:0
私「早く持ち主が取りに来ないかなーって」
塙氏「これは良い。こういう風に、ものの佇まいを撮ってあげるといいんじゃないかな」
いいねの数:4
私「駅のホームの待合室の中で、電車を待つ人達の後ろ姿を撮りました」
塙氏「ガラス越しの背中がいい」
いいねの数:0
私「男性たちが「俺はこう思うんだけどさ」とかいう会話をしてるのかなーと想像して」
塙氏「さっきの写真の方が背中が物語ってる」
いいねの数:0
私「カップルが「あの服欲しいー」とかいう会話をしてるのかなーと想像して」
塙氏「カップルの覗き込みも中途半端」
いいねの数:0
私「案内板が、自分はここでずーっと立ったまま、誰からも気にも留められないけど、案内してるんです、って言ってる気がして」
塙氏「もっと、主役の案内版が目立つように撮ってあげた方がいい」
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私「みんなは家路につくけど、工事の方たちはこれからが本番だ!という所を撮りました」
塙氏「モノクロで面白いけど、これはまた雰囲気が違うね」
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私「渋谷ですね。車道をこんな風に自転車が走る所見たことなかったので」
塙氏「とてもいいと思う。手前の看板、奥の人、車、視線が行ったり来たりするけど、それぞれ喧嘩していない」
いいねの数:0
私「つり革目線で人間を見るとこんな感じかな、と」
塙氏「これはモノクロがいいかもね」
いいねの数:5
私「駅のホームから女子高生を撮りました」
塙氏「これは好き。手前のぐるぐるの柵の感じと女子高生が帰っていく感じが何となく寂しくて、力がある」
いいねの数:0
私「女子高生たちがキャッキャしてたのを撮りました」
塙氏「こっちのが写真はキレイなんだけど、さっきのが面白い」
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超いいねの数:1
私「静かに電車が動いていく、そんな所が撮れたらいいなと思って撮った一枚です」
塙氏「これも中途半端」
いいねの数:0
写真は以上です。
塙さんからは「擬人化で、人が主役じゃない方が伝わる気がする」とのお言葉をいただきました。
これまで何となく、「なんで自分はものを撮っちゃうんだろう」と思ってたけど、ワークショップに参加したことで小学校の頃を思い出しましたし、改めて自分の好きなものに気付きました。
写真は、自分が好きであればどう撮ってもいいんですよね。「〇〇さんがこう言ったから直そう!」とか、絶対にそうする必要はないと思います。ただ、写真をいっぱい撮って、観て、勉強してこられた方の意見を聞くのも、自分の写真のためにはいいかな~と思い参加しました。
真面目か!
これから、もの以外も撮るとは思いますが、擬人化(ものの声)シリーズは続けていきたいと思います。
もしよければみなさんも、30枚選んでみてください。選ぶ作業が大変だと思いますが、自分がよく撮っているもの、気に入っている写真を見返すのは面白かったです。もしかしたら何か発見があるかもしれません。
ワークショップの報告はこれまで。こんな長い記事を最後まで読んでくださりありがとうございました。